診療内容
妊婦健診
妊婦健診とは/健診の検査など
ベーシックな妊婦健診の回数
~24週 | 4週間に1度 |
---|---|
24~35週 | 2週間に1度 |
36週~ | 1週間に1度 |
妊娠初期(~15週まで)
- 定期検査
- 子宮頸がん検査(細胞診)
- 血液検査(血液型や貧血検査、不規則抗体検査、B型肝炎ウイルス抗原検査、C型肝炎ウイルス抗体検査、梅毒血清反応、風疹ウイルス抗体検査、HIVスクリーニング検査、HTLV-1抗体検査、血糖検査)
- 性器クラミジア検査
妊娠中期(16~27週)
- 定期検査
- 血液検査(貧血・50g糖負荷試験)
- 経腟超音波検査(胎盤・頚管長を測定)
妊娠後期(28週~32週まで)
- 定期検査
※当院での妊婦健診は32~34週頃までですので、それ以降は分娩先で行っていただきます。
がん検診のご案内
子宮頚がんは、性経験があれば誰でも発症する可能性があります
発症ピークは30代後半ですが、25歳を過ぎると急激に発症者数が増加し、若い世代の発症も珍しくありません。
卵巣がんは発症ピークが50代前半ですが、15歳以上になると発症率が増加し始め、若い方の発症も珍しくありません。
子宮頚がんと卵巣がんは早期の自覚症状がほとんどないまま進行しますので、早期発見には定期的ながん検診の受診が不可欠です。
子宮頸がんについて
子宮の下部にある管状の部分を『子宮頸部』といいます。
出産の際には産道の一部となり、この部分にできるがんが『子宮頚がん』です。
日本では年間1万人以上が子宮頸がんと診断されています
25歳を超えると発症率が急激に上昇し、30代後半が発症のピークです
子宮頸がんの発生のほとんどには「ヒトパピローマウイルス(HPV)」の感染が関与しており、現在では、ワクチン接種による予防が有効です。
早期に発見できれば治せる可能性の高いがんですが、進行させてしまうと命に関わります。また、若い方の発症が増加傾向にあることから、将来の妊娠・出産のためにも早期発見や予防が重要視されています。
子宮頸がんの主な原因となっているHPV
HPVはありふれたウイルスです
皮膚に感染してイボができる比較的安全なものから、子宮頚がんなどの原因になるハイリスクなタイプまで300種類以上が発見されており、ハイリスクなHPVは現在14種が知られています。
女性の80%以上が生涯に1度はHPVに感染するとされています。感染してもほとんどは免疫によって排除されますが、約10%が持続感染し、その一部に子宮頚がんが発生すると考えられています。
子宮頸がんの検査方法
経腟超音波(経腟エコー)検査
子宮や卵巣の状態を調べる検査です。
不快感がほとんどなく、数分でできることから、心身への負担を抑えられます。
卵巣の腫れ、子宮筋腫、内膜症などの有無を判断するためにも有効です。
細胞診・組織診
子宮頸がん検査では、負担が少ないブラシで子宮頸部の組織を採取してがん細胞の有無を調べる細胞診を行います。
コルポスコピー検査
子宮頸がん検査の結果、精密検査が必要と判断された場合に行われます。
コルポスコピー検査は、拡大鏡で子宮頸部を直接観察し、病変部分の組織を採取して検査します。生検を行うことで『子宮頸部異形成』や『子宮頸がん』の診断が可能になります。
子宮体がんについて
子宮下部の子宮頚部の上に、妊娠した際に胎児を育てる子宮体部があります。
『子宮体がん』は、子宮体部にできる癌で、25歳を過ぎると罹患率が上昇し始め60歳前後で発症率がピークとなります。
『子宮体がん』は子宮内膜に発生することから『子宮内膜がん』と呼ばれることもあります。子宮内膜は卵巣から分泌されるエストロゲン(卵胞ホルモン)によって増殖して受精卵の着床に備え、妊娠しなかった場合は剥がれ落ちて生理になります。
子宮体がんと卵胞ホルモン
『子宮体がん』は、エストロゲン(卵胞ホルモン)の刺激が長期間続くことによって発生リスクが高くなります。
「出産経験がない」「閉経が遅い」「肥満」などがあるとエストロゲンの刺激が長期間続き、リスクも高くなります。
なお、エストロゲンを補充する治療を受けている場合、黄体ホルモン併用により『子宮体がん』発生のリスクを抑えることができます。
エストロゲンの数値が高い状態が続くと、子宮内膜増殖症という『前がん病変』を経て『子宮体がん』になりやすいと考えられています。
また、エストロゲンとは関係なく発生する『子宮体がん』では、糖尿病や遺伝性腫瘍などがリスク要因であるとされています。
※子宮体がんのリスク要因
- 肥満
- 高血圧
- 糖尿病
- 月経不順(無排卵性月経周期がある)
- 未経産(出産経験がない)
- 卵胞ホルモンのみのホルモン療法を受けた・受けている
- 現在、乳がんの治療中
- 乳がん、大腸がんになった血縁者がいる
など
子宮体がんの検査方法
細胞診・組織診
細い棒状の器具を子宮内に挿入し、子宮内膜の組織を採取してがん細胞の有無を調べる細胞診を行います。
子宮の入口が狭い場合、痛みや出血を伴う可能性があり、子宮内部に器具を入れることができないケースもあります。
組織の採取が困難な場合には、超音波(エコー)検査で子宮内膜の厚みなどを調べますが、超音波(エコー)検査では初期の子宮体がんを発見できない可能性があります。また、必要があればMRI検査などを行うこともあります。
細胞診の結果、異常が疑われる場合には、子宮内膜の組織を採取して組織診を行いますが、広範囲の採取が必要な際には麻酔をした上で採取を行うこともあります。
組織診では子宮体がんの確定診断が可能であり、組織型と悪性度も判断できます。
なお、悪性腫瘍の疑いがある場合には、速やかに連携している高度医療機関もしくはご本人の希望する病院へご紹介しています。
卵巣がん検診
更年期世代の方が最も多く、次いで80歳前後の世代、さらに20~30代の女性でも卵巣がんに罹ることがあります。
卵巣検診は、内診と超音波検査により行います。腟内から観察する経腟超音波検査法により、ほとんどの卵巣腫瘍は比較的早期に発見が可能となりました。
悪性が疑われる場合には、血液検査で腫瘍マーカーの測定を行います。
特に、子宮内膜症や卵巣腫瘍を指摘されたことがある方は、大きさや性状の変化を診るために、年2-3回の定期検診を受けることをお勧めします。
症状が出にくい病気ですので、早期発見するには定期的に検診を受けることが大切です。
子宮がん・卵巣がん検診
【検診概要】
項目 | 内容 | 保険診療の条件 |
---|---|---|
子宮頸がん検診 | 20歳以上の女性に推奨(細胞診) 自覚症状がなければ2年に1回が目安 |
異常出血・接触出血・帯下異常がある場合は保険適用 |
子宮体がん検診 | 不正出血がある40歳以上の女性が対象 経腟エコー・内膜細胞診を組み合わせて実施 |
不正出血があれば保険適用 無症状での検診は自費 |
卵巣がん検診 | 年齢制限なし 経腟エコーで卵巣の腫大や腫瘤をチェック |
下腹部痛・腹部膨満感などがあれば保険適用 |
当院では、県内各市町村の子宮がん検診(公費負担)に対応しています。
症状がある場合は保険診療での検査が可能です。
ワクチン
※予防接種はすべて予約が入ってからワクチンの手配をします
HPVワクチン(シルガード)
HPV(ヒトパピローマウイルス)は性交渉により感染するウイルスですが、一般的に言う性感染症と異なり、性生活がある場合には誰もが生涯に一度は感染すると言われています。特に若い世代の感染率は非常に高いといわれています。
HPVには200種類以上の型があり、子宮頸がんや尖圭コンジローマなどさまざまな病気の原因となります。このうち子宮頸がんに関与するハイリスクHPVは十数種類ほどで、発がんの危険度に差があります。
子宮頸がんの予防法としては、HPVウイルスに対する予防ワクチンを接種することが推奨され、これにより、ウイルスの感染を約70~80%予防する効果が期待できます。
ワクチンに関する相談を受け付けておりますので、子宮頸がんワクチンの接種について疑問や不安のある方はお気軽にご相談ください。
シルガード®9(上記4種+31型、33型、45型、52型、58型)
接種対象者:10歳以上の女性
2021年2月24日より日本国内でも販売開始となりました。
※公費対象者;小学6年生から高校1年生相当の女子
妊婦向けワクチン
赤ちゃんを百日咳から守るための大切なワクチン
~ 妊娠中の百日咳(Tdap)ワクチン接種のご案内 ~
百日咳ってどんな病気?
百日咳は、激しいせきが長く続く感染症です。
特に生後3か月未満の赤ちゃんがかかると、呼吸困難やけいれんなど重症になることがあり、命に関わることもあります。
なぜ妊娠中にワクチンを打つの?
妊娠中に百日咳ワクチン(Tdap)を接種することで、
※お母さんの体に抗体が作られ、胎盤を通して赤ちゃんに移ります。
※赤ちゃんが生後数か月の間、感染から守られます。
いつ接種するの?
妊娠27週〜36週の間に1回接種します。
(この時期が最も抗体の移行効果が高いとされています)
ワクチンの種類と接種方法
使用するワクチン:Tdap(破傷風・ジフテリア・百日咳混合)
→ 海外で長年使用されており、安全性が確認されています。
接種回数:1回のみ 接種方法:筋肉注射
副反応は?
接種部位の痛み・腫れ・赤み ・軽い発熱やだるさ
※重い副反応は非常にまれで、妊娠中の接種も安全とされています。
費用について
このワクチンは自費診療になります。
※接種費用は別記
※当院での料金や予約方法はスタッフまでお尋ねください。
赤ちゃんを守るためにできること
百日咳から赤ちゃんを守る方法の一つが、お母さんがワクチンを受けることです。
お母さん自身の感染予防にもなります。
ご希望の方はお気軽にご相談ください
当院では事前予約制です。ご不明な点はスタッフまでお尋ねください
※百日咳ワクチンは令和7年8月現在入荷制限中です
赤ちゃんをRSウイルスから守るために
RSウイルスってどんな病気?
RSウイルスは、乳幼児がかかると重い呼吸器感染症を引き起こすウイルスです。
特に生後6か月未満の赤ちゃんが感染すると、細気管支炎や肺炎を起こし、入院が必要になることがあります。
なぜ妊娠中にワクチンを打つの?
妊娠中にRSウイルスワクチンを接種することでお母さんの体にできた抗体が胎盤を通じて赤ちゃんに移行します
生後初期の赤ちゃんをRSウイルス感染から守ります。
いつ接種するの?
妊娠32週〜36週の間に1回接種します。
(この時期が最も抗体移行に適しているとされています)
ワクチンの種類と接種方法
使用するワクチン:RSウイルスワクチン(妊婦用)
→ 海外で承認されており、日本でも導入が始まっています。
接種回数:1回のみ
接種方法:筋肉注射
副反応
・接種部位の痛みや腫れ
・頭痛、筋肉痛、倦怠感などの軽度の症状
※重大な副反応は非常にまれで、安全性が確認されています。
費用について
このワクチンは現在自費診療になります。
※当院での料金や予約方法はスタッフまでお尋ねください。
赤ちゃんを守るためにできること
RSウイルスは毎年流行し、赤ちゃんにとっては重症化のリスクが高い感染症です
妊娠中のワクチン接種で、生まれてすぐの赤ちゃんを守ることができます。
ご希望の方はお気軽にご相談ください
当院では事前予約制です。ご不明な点はスタッフまでお尋ねください。
婦人科疾患
月経困難症
仕事や学校に行けないほどひどい生理痛がある、痛み止めを飲まないと日常生活に支障が生じる、起き上がれないほど生理が重い時があるなどの場合は、月経困難症が疑われます。
主な症状は下腹部の痛みですが、頭痛、肩こり、吐き気・嘔吐、下痢・便秘、腰痛、イライラなど多岐に渡る症状を起こすこともあります。
子宮内膜症など治療が必要な疾患が背景にあって重い生理痛を起こしている疑いもあります。
生理は病気じゃないからと我慢している女性が多いですが、適切な治療で解消できますので、お気軽にご相談ください。
原因
冷え、ストレス、生活習慣の影響で生理が重くなっていることもあります。
こうした場合には安静を保ち、温かくしてゆっくり休むことが症状緩和や出血量の減少に繋がります。日頃から毎日入浴してバスタブに浸かり、芯までしっかり温めることを心がけてください。
また、過度の飲酒を控え、生理日にゆっくり過ごせるようスケジュールを調整することも有効です。こうした対策をとっても生理痛が改善しないケースでは、痛み止めで緩和できる場合もありますので、早めにご相談ください。
将来の妊娠に影響する子宮疾患が隠れている場合も
重い生理痛は、子宮筋腫や子宮内膜症といった子宮疾患で起こる症状でもあります。
子宮筋腫があると経血量が増加してレバーのような塊が出てくるなど、重い生理痛を起こしやすくなり、息切れ・立ちくらみ・頻脈などの貧血症状を伴うこともあります。
子宮内膜症では、強い痛みを起こすこともあります。激しい下腹部痛や排便痛・性交痛を起こすこともあります。
子宮内膜症や子宮筋腫があると妊娠が困難になる可能性がありますので、早期に発見して適切な治療を受けることが重要です。特に、年々生理痛が重くなってきた場合には、子宮筋腫や子宮内膜症が疑われますのでできるだけ早くご相談ください。
月経前症候群(PMS)
生理が始まる2日~2週間前に不快な症状が現れ、日常生活に悪影響を及ぼしますが、生理が始まると緩和・解消される状態です。
主な症状には、下腹部の痛みや膨満感、乳房の痛みや張り、むくみ、めまいや立ちくらみ、頭痛・肩こり・腰痛、肌荒れやニキビ、イライラや抑うつ、情緒不安定、注意力・集中力低下、睡眠障害などがあります。
症状の内容や程度、現れるタイミングには個人差が大きいことから、日常生活への支障がほとんどない場合にはPMSと診断されない場合もあります。
月経前不快気分障害(PMDD)
月経前症候群(PMS)の中でも、心の症状が特に悪化して日常生活に支障を生じている場合に診断されます。
気分の落ち込みや抑うつ、特に理由なく涙が止まらなくなる、イライラする、怒りっぽくなって攻撃的になるなど感情のコントロールが難しい状態になります。
感情的になってしまうことで、日常生活に支障が生じてしまうことがあります。
月経前不快気分障害(PMDD)は社会的な認知度がまだ低く、周囲に理解されないことでご自分を責めてしまう傾向がありますが、ホルモンの影響で起こっている症状であり、適切な治療で改善できます。お悩みがありましたら早めにご相談ください。
原因
PMSとPMDDは、生理前に増える黄体ホルモン(プロゲステロン)が関与していると考えられていますが、はっきりとした原因はまだ分かっていません。
現在では、黄体ホルモン・卵胞ホルモンなどの影響を受けて感情をコントロールしている神経伝達物質の量・働きに異常が起こるという指摘もされています。
治療
低用量ピル(LEP)や黄体ホルモン製剤による治療で症状の緩和・消失が期待できます。
吐き気などの副作用や血栓症リスクを抑えた処方も可能です。また、ジェネリックも利用できますので、自己負担額を抑えることもできます
漢方薬や鎮静剤などを使った治療が有効なケースもあります。
当院では患者様の状態や可能な治療について分かりやすくご説明し、最適な治療法を選択できるようにしています。
生理不順
生理周期が長い・短い、生理期間が長い・短い、出血量が多い・少ないなどがあります。
多くの場合、ホルモンバランスが乱れることでこうした症状を起こしていますが、下垂体性無月経、多嚢胞性卵巣症候群、高プロラクチン血症、無排卵周期症、子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜ポリープ、子宮頚がん、子宮体がん、甲状腺疾患など、様々な疾患が原因で起こっている可能性もあります。
できるだけ早く適切な治療が必要な疾患もありますので、生理不順の症状がある場合には放置せずにご相談ください。
原因
女性ホルモンである卵胞ホルモンと黄体ホルモンは卵巣から分泌されます。
脳の視床下部や脳下垂体が卵巣と協調して働くことで分泌が適切にコントロールされています。
視床下部・脳下垂体・卵巣のどれか1つに不調を起こすとホルモンバランスが崩れて生理に影響が現れます。
生理不順の種類
希発月経
正常な月経周期は25~38日とされており、39日以上の周期になった場合に希発月経とされます。
卵巣の働きやホルモン分泌が不十分で発症すると考えられています。
無排卵周期も疑われますので、2か月程度経過を観察する必要があります。
月経周期が遅れることが繰り返しある場合には、ホルモンバランスや排卵の有無を確かめます。
頻発月経
月経周期が24日以下になる状態です。
卵巣機能低下やストレスなどの影響でホルモンバランスが崩れて生じると考えられています。
黄体機能不全では、黄体ホルモンの分泌が低下して排卵から生理開始までの期間が短くなり、受精卵着床に欠かせない子宮内膜の成熟が不足して不妊や流産の原因になる可能性があります。
妊娠を希望されている方で頻発月経がある場合には、速やかにご相談ください。
過長月経と過多月経
月経期間が8日以上になる過長月経は、ホルモンバランスの乱れや子宮疾患が原因で生じるとされています。
過多月経は、出血量が多い、レバーのような塊が出るといった症状を起こす状態で、子宮筋腫、子宮内膜症、ポリープ、子宮がんなど多くの子宮疾患の
症状として生じている疑いがあり、早急な受診が必要です。
過少月経と過短月経
過少月経は経血量がとても少ない状態で、具体的にはナプキン表面にほんの少しだけ血液が付着する程度です。
過短月経は、2日以内に生理が終わってしまう状態です。
女性ホルモンの分泌不足、子宮内膜の成熟の不足、子宮の発達不全、甲状腺疾患などの関与が指摘されており、放置することで不妊に繋がる可能性があります。
生理が軽くて楽と考えているケースもありますが、早めに受診して原因を確かめることが重要です。
生理不順だと気付いたら基礎体温を毎日測定して記録することが重要です。
基礎体温を記録されている場合は、受診の際に必ず記録をお持ちください。
また、生理不順は、ストレス、過労や睡眠不足、過激なダイエットなどでも生じることがあります。
もしかしたらと思ったら、お気軽にご相談ください。
不正出血
本来の生理周期以外の時期に出血があった場合に不正出血とされます。
また、性交渉後に生じた場合は、接触出血と呼ばれます。
出血量は、おりものに少しだけ赤や茶色のものが混じる程度から、生理と同じくらいの出血まで様々です。
量に関わらず、不正出血や接触出血は疾患の症状として現れているケースがあり、癌など重大な病気が隠れている可能性もあります。
少量だからと油断せず、早めにご相談ください。
不正出血の症状を起こす疾患
排卵期出血/月経不順、無排卵月経/子宮腟部びらん/萎縮性腟炎/子宮筋腫
クラミジア頚管炎/子宮内膜増殖症/妊娠(切迫流産)
子宮頸管ポリープ/子宮内膜ポリープ/子宮体ガン/子宮頸ガン
など
子宮筋腫/卵巣腫瘍/子宮内膜症
子宮筋腫
子宮にできるコブ状の良性腫瘍で、女性ホルモンの影響を受けて大きくなり、閉経を迎えると縮小します。重い生理痛や貧血などを起こすこともありますが無症状のまま大きくなるケースもあります。
急激に巨大になる悪性の子宮肉腫の可能性も考慮し、疑わしい場合には受診して診断を受け、定期的に経過を観察することが重要です。
症状
重い生理痛を起こす月経困難症、出血量が増加する過多月経などを起こし、頻脈息切れ、立ちくらみといった貧血症状を伴う場合もあります。
ただし、自覚症状がないまま筋腫が大きくなっていくこともあり、しこりとして触れて初めて発見されることもあります。
良性腫瘍ですのでサイズが小さく症状も起こさなければ、経過観察をする場合もありますが、悪性の子宮肉腫が生じる可能性がありますので定期的な受診が重要です。
特に、急にしこりが触れるようになった、出血が続くといった症状がある場合は、定期的な受診のタイミングではなくても速やかな受診が必要です。
治療
筋腫のサイズや状態、発生した場所、症状、将来の妊娠を希望しているなどライフスタイルを考慮し、患者様と相談して薬物療法や手術といった治療方針を決めます。手術の場合は連携している高度医療機関、もしくはご本人の希望の病院にご紹介します。
卵巣腫瘍
卵巣に生じる腫瘍の総称で、発生した場所によって多くの種類に分けられ、それぞれ良性腫瘍・境界悪性腫瘍・悪性腫瘍があります。
嚢胞性という袋状の卵巣腫瘍は良性の可能性が高いとされており、超音波(エコー)検査である程度の判断ができます。
ただし、最終的には手術で摘出した腫瘍の病理検査によって確定診断されます。
卵巣腫瘍では悪性が全体の10~20%程度とされています。
卵巣がんの罹患率ピークは50歳ですが、15歳頃から罹患率が上昇し始めますので、若い方から高齢の方まで幅広い年代に発症する可能性があります。
症状
腫瘍が小さいうちには自覚症状がほとんどなく、腫瘍が大きくなった際の主な症状は生理痛です。
卵巣は2㎝程度の臓器ですが、卵巣腫瘍は20㎝以上になることもあり、サイズが大きくなると周囲の臓器を圧迫して膨満感、下腹部痛、腰痛、便秘、頻尿、むくみなどの症状を起こします。
さらに進行すると腹水や胸水が溜まり、体重減少や呼吸に支障が生じるなどが起こることもあります。また、卵巣腫瘍の付け根がねじれる卵巣腫瘍茎捻転や、腫瘍の一部が破綻すると急激に激しい痛みを起こすことがあり、その場合には緊急手術が必要になります。
治療
超音波(エコー)検査、腫瘍マーカー検査の結果、必要に応じて、連携している高度医療機関病院、もしくはご本人の希望の病院にご紹介します。
子宮内膜症
子宮内膜は、受精卵が着床するための組織で、排卵後に増殖し、着床がないと剥がれて生理になります。
子宮内膜症は、本来は子宮内膜が存在しない卵巣や卵管、子宮周辺の腹膜などに子宮内膜やそれに似た組織が増殖してしまう疾患です。
生理周期に合わせて増殖、出血を繰り返し、重い生理痛などの症状を起こします。
卵巣に生じるチョコレート嚢腫、子宮筋層内に生じる子宮腺筋症などがあり、チョコレート嚢腫は良性ですが、悪性に変わる可能性もありますので注意が必要です。
症状
重い生理痛が主な症状です。
年々、生理痛が重くなっていく場合、子宮内膜症が疑われます。
また、生理周期とは関係なく、骨盤内に激しい痛みを生じる場合は子宮腺筋症が疑われます。他にも月経過多などの症状を起こすこともあります。
治療
患者様の状態や将来の妊娠を希望されるかなどのお考えを伺いながら、適切な治療方針を相談して決めています。
治療の選択肢には、手術、子宮内膜症治療薬や低用量ピルなどによる薬物療法、黄体ホルモン子宮内放出システムの装着などがあります。手術を選択された場合には、連携している高度医療機関をご紹介しています。
性病
性感染症は、性交渉によって感染する病気の総称で、原因となる病原体には細菌ウイルス・原虫などがあります。
性感染症は男女で現れる症状が大きく異なるものが多く、男性に比べて女性は自覚症状に乏しいケースが多いです。
こうしたことから、感染しても気付かず、妊娠時の血液検査で初めて発見されるケースもあります。はっきりした症状がないまま炎症が進行して不正出血や下腹部痛など起こし、卵管が癒着して不妊の原因になる可能性もあります。
また、出産時に母子感染を起こすこともあります。
進行を防止するためには、早期に発見して適切な治療を受けることが不可欠です。
現在、性感染症は性体験があれば誰もが罹患している可能性のある病気となっています。
気になる症状がある場合は検査を受け、感染が分かったら速やかに適切な治療を受けましょう。不安や違和感がありましたら、お気軽にご相談ください。
こんな症状があったらすぐにご相談ください
おりもの:量が増えた、白・黄色・赤・茶などの色が付いている・臭いが強くなった
外陰部:痛みがある、かゆみがある、赤みや熱感がある、水疱ができた、イボができた
下腹部:痛みがある、熱感がある
性交時・排尿時:痛みがある、違和感がある
出血:性交後に出血する
性交渉:複数のパートナーがいる、コンドームを使わずに性交渉を行った
※パートナーの症状:かゆみ・排尿痛・性器からの膿・痛みなどの症状がある
代表的な性感染症
クラミジア感染症
最も感染者数の多い性感染症です。
女性は自覚症状がほとんどなく発見が遅れるケースが目立ちます。
女性にとって、子宮内膜症や卵管炎の発症リスクを上昇させる疾患であり、月経困難症や不妊症になる可能性があり、炎症が進行すると肝臓周辺まで広がってしまうこともあります。
抗生物質による適切な治療で治すことができます。
おりものが黄色っぽい、おりものの量が増えた、おりものの臭いが強くなったと感じたら、受診して感染の有無を確かめましょう。
淋病感染症
淋菌に感染して生じます。
男性が感染すると強い尿道炎を起こして激しい排尿痛や出血、尿道から膿が出るなどの症状を起こしますが、女性はおりものの増加程度で自覚症状に乏しい傾向があります。おりものの臭いが強くなる、量が増える、黄色っぽいなどの症状で気付く可能性もあります。
重症化して子宮や卵管に炎症が及ぶと不正出血や下腹部痛などの症状を起こします。
クラミジア感染症の併発もあり、不妊の原因になる可能性もあります。
抗生物質による適切な治療で治すことができますが、薬剤耐性が問題となっていますので、治療後に必ず陰性になっていることを確かめる必要があります。
パートナーに症状がある場合、ご自分に症状がなくても必ず婦人科を受診して感染の有無を確かめることが重要です。
梅毒
近年になって罹患者数が毎年上昇している性感染症です。
梅毒トレポネーマに感染して発症し、潜伏期間3~6週間を経て陰部に固いしこりが生じます。ただしこのしこりは数週間程度で自然に消えてしまうので、感染に気付かない場合もあります。
しこりがおさまってから1~3か月経過すると、独特の赤い発疹が手のひら・足裏陰部などに生じ、倦怠感や発熱を生じることもあります。
有効な治療法がなかった時代には進行して脳や神経も侵される不治の病でしたが現在では抗生物質による適切な治療で治すことができます。
性器ヘルペス
病変部と接触することで感染します。
3~7日の潜伏期間を経て、ピリピリした違和感の後、小さな水疱ができ、それが崩れて潰瘍になって痛みやかゆみを伴います。
自然に治りますが、ヘルペスウイルスは神経節に潜伏しますので、感染すると完全に排除することはできず、免疫力が低下した際に発症を繰り返すこともあります。
初めての感染で女性は強い症状を起こすことがありますが、再発時にはそれほど強い症状を起こすことはありません。
薬の服用によって再発の抑制や症状の緩和が期待できます。
なお、病変部との接触によって感染しますので、症状がある間の性交渉は厳禁です。
唇に口唇ヘルペスができている場合、キスやオーラルセックスは避けてください。
トリコモナス
アメーバのような原虫という生物が感染する性感染症です。
性行為以外にも、下着やタオル、便器、浴槽などを介して感染する可能性があり、性経験のない幼児などが発症するケースもあります。
女性は臭いの強いおりもの、黄緑色のおりもの、おりもの量が増える。かゆみ、痛みなどの症状を起こします。
比較的わかりやすい症状を起こす傾向がありますが、感染した女性の20%には症状が現れないと指摘されています。
自然に治ることがない性感染症であり、放置していると不妊や流産に繋がってしまいますので、症状がある場合は早めに受診してください。
カンジダ症
カビの一種であるカンジダという真菌
性経験がなくても発症することがあります。
80%の女性が生涯に1度は経験するとされており、免疫力が低下したことでカンジダが異常増殖し、腟炎を起こします。
カッテージチーズや崩した豆腐のような白く濁ったおりものという特徴のある症状が起こります。また、黄緑色のおりものや、おりものの量が増えたりする場合もあります。強いかゆみを伴うことが多いです。
真菌ですので抗生物質は効かず、抗真菌薬である腟錠や軟膏による治療で治すことができます。
HIV感染症(エイズ)
HIV(ヒト免疫不全ウイルス)に感染し、発症した状態がHIV感染症です。
発症を抑制する効果的な治療法が確立されてきており、早めに適切な治療を受けることが重要な性感染症です。
発症すると免疫力が徐々に低下してしまい、健康であれば問題のない細菌やウイルスに感染して重い症状を起こすようになってしまいます。
以前は死に至る疾患と考えられていましたが、早期に適切な治療を行うことで感染前とあまり変わらない生活を送れるようになってきています。
疑わしい場合にはお気軽にご相談ください。
※おりものの変化に気付いたらすぐに婦人科を受診してください
女性が感染してもはっきりとした自覚症状を起こしにくい性感染症でも、おりもののちょっとした変化で早期発見に繋がることがあります。
普段からおりものの状態をしっかり把握しておき、違和感や変化に気付いたら婦人科を受診しましょう。
婦人科
更年期外来
生理が来なくなる閉経の前5年間、後5年間の合計10年間が更年期です。
更年期には卵巣機能が低下して分泌される女性ホルモンが低下し、ホルモンバランスが大きく乱れます。脳の視床下部や脳下垂体は女性ホルモンの分泌を促す指令を出しますが、分泌が不足することで混乱が生じ、更年期障害と呼ばれる多くのつらい症状を起こしやすくなります。更年期に現れる症状の内容や強さ、現れる期間には個人差が大きく、短期間に多少の不調を感じる程度から、10年以上に渡って日常生活に大きな支障を生じる症状に悩まされるケースまで様々です。こうした症状は適切な治療によって改善が可能であり、閉経による老化や疾患の発症リスクの緩和も期待できます。つらい症状がある、日常生活に影響するなど、更年期に関するお悩みがありましたら、できるだけ早めにご相談ください。
更年期の症状
心身への幅広い症状を起こし、内容や強さ、症状が現れる期間は患者様によって大きく異なり、同じ方でも時期によって症状が変化します。代表的な症状には、急激にほてりや大量の発汗を起こすホットフラッシュがあり、他にも頭痛や肩こり、冷え、腰痛、睡眠障害、気分の落ち込みなど様々な症状があります。症状は自律神経系(血管運動神経系)、精神神経系、その他(運動器や消化器など)に大きく分けられます。
自律神経系
呼吸、血液循環、体温調節、消化・吸収、内分泌などは、自律神経によって無意識にコントロールされています。心身の状態に合わせて交感神経と副交感神経が交替しながら適切に調整されていますが、このバランスが崩れると様々な機能の制御不全が起こって症状を起こします。急激なほてりや大量の発汗を起こすホットフラッシュは自律神経系の症状です。
精神神経系
感情のコントロールが困難になり、イライラ、怒りを抑えられなくなる易怒性、反動として起こる気分の落ち込み、不安、抑うつ状態などが起こります。更年期はお子様の自立や親の介護、仕事のリタイアなど生活にも大きな変化が起こる時期であり、その影響が症状に関与することが多いです。
その他
関節や筋肉の痛みやこりといった運動器症状、胃もたれ・食欲不振・下痢・便秘などの消化器症状などがあります。
更年期の治療
基本的に更年期障害の治療は健康保険が適用され、その範囲で十分な症状の緩和が見込めます。
下記では保険診療が適用される更年期治療の内容をご紹介しています。
HRT(ホルモン補充療法)
低下している女性ホルモンを補充して症状改善に導きます。患者様に合わせて、エストロゲンのみの処方、エストロゲンとプロゲストーゲン併用処方が行われます。内服薬以外に、貼るパッチ、塗るジェルなどの薬があり、より負担なく続けられるものを選択できます。
漢方療法
漢方薬は幅広い症状や、変化する症状にも効果を期待できる処方がいくつもあり、更年期障害の治療でも昔から使われてきました。症状だけでなく患者様の体質などにも合わせた処方を行っており、他の薬と併用することも可能です。ほとんどは粉末のエキス剤ですので、一般的な西洋薬と同じような感覚で服用できます。
思春期外来とは
思春期になると女性ホルモンの分泌が急激に増えるという大きな変化が起こり、それによって生理に関するお悩み、イライラや情緒不安定など心身の不調を生じやすくなります。
当院では、思春期特有のトラブルに関する相談も承っており、ダイエットやストレスなど幅広いお悩みにも対応しています。ご本人のみ、または保護者同伴でのご相談も可能ですので、気になる不調がありましたらご来院ください。
自費診療
避妊用 低用量ピル(OC)とは?
経口避妊薬であり、OC(Oral Contraceptives)と呼ばれることもあります。
正しく服用することで安全で確実な避妊効果を得られます。
最低限の女性ホルモンを配合することで、副作用が起こりにくくなっています。
ホルモンバランスを調整して排卵・受精・着床に対する避妊効果を得られます。
また、月経周期を一定にして生理に伴う症状の軽減効果も期待できます。
作用と効果
排卵の抑制
卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体化ホルモン(LH)の分泌が抑えられ、排卵を起こらないようにします。
精子の子宮内進入の抑止
子宮の入口である子宮頚管の粘液が変化し、精子が子宮に侵入しにくくなります。
受精卵着床の抑止
子宮内膜が十分に厚くならず、排卵が起こっても着床しにくくなります。
※服用を中止すると避妊効果はなくなります。
費用
※自費の場合当院では3300円(税込)がほとんど
服用のポイント
最初の1シートは、基本的に生理3日目からの服用開始をおすすめします。
避妊効果は服用の初日から得られます。
生理5日目までであれば服用を開始できます。
服用は1日1回1錠であり、毎日行います。
毎日、できるだけ同じ時間帯に服用してください。
3~4時間ずれても問題ありませんが、決まった時間に服用する習慣をつけると飲み忘れを防止できます。スマートフォンのアラームなどを利用することも効果的です。
正確に服用を続けることで99.7%という高い避妊効果を得られます。
初回の処方は1か月分となっています。
ピル(OC)服用の流れ
- 受診:問診、血圧測定などを行い、問題がなければ1か月分のOCが処方されます。
- 1か月後:問診で状態などについて丁寧に伺って薬が合っているかを判断します。
- 飲み忘れ&注意事項
1錠(1日)飲み忘れた場合は、翌日にその分を含めた2錠を服用します。
2日間以上連続して飲み忘れた場合、避妊の確実性が失われてしまいますので、ピルの服用を中止してコンドームなどで避妊してください。
その後、通常の生理のような出血がありましたら妊娠していないことが分かりますので、そこから5日以内に新しいシートでピルの服用の開始が可能になります。生理があったかどうか判断に迷う場合は、ご相談ください。 - 副作用:吐き気・頭痛・眠気・むくみ・胸の張り
服用開始後に生じやすいとされていますが、生じた場合も1~2週間経過する
とほとんどの場合は改善しますので服用を続けてください。 - 不正出血:服用開始後の1~2か月は、生理周期に関係のない不正出血を起こすことがあります。
そのまま服用を続け、毎日服用していれば避妊効果を得られます。
なお、2週間以上不正出血が続く場合などは処方の変更を検討しますのでご相談ください。 - 血栓症について:ピルの服用による重篤な副作用に、血栓症があります。
血栓症は血管の中に血液の塊ができてしまい、それが血管に詰まり血液の流れを止めて、深刻な疾患を起こす可能性があります。
ただし、低用量のOCでは含まれるホルモン量が微量であることから、基礎疾患がなく、肥満や喫煙習慣がなければそれほど心配する必要はありません。
重要なことはリスクと効果をしっかり理解し、異常の徴候について正しい知識をもち、万が一の場合に備えることです。 - 服用は食後である必要はなく、睡眠前に行うようお勧めしています。軽い悪心などの副作用があっても就寝中であれば、気にせずに過ごすことができ、ストレスの軽減に役立ちます。
- 服用中に出血が生じた場合も、そのまま服用を続けて頂いて問題ありません。出血が続いても通常の経血量より少量の状態の維持が期待できます。
- 1~2錠(1日か2日)飲み忘れた場合には、気付いた時点で飲み忘れた分も服用することで効果が期待できますが、連続して2日以上飲み忘れてしまうと月経移動に失敗して通常の生理のような出血が起こる可能性が高くなります。
- 月経移動の副作用防止目的で制吐剤、酔い止め、頭痛薬などの服用も可能です。
- 普段、処方されている薬を服用されている場合には、同時服用が可能かどうかを必ず最初にご相談ください。
- 服用中に海外へ行かれて時差がある場合、服用間隔が24時間以上にならないように注意する必要があり、一時的に24時間以内に2回服用することになっても問題ありません。
- 月経移動で処方されるピルには避妊効果がありません。
- 必ずしも食事後に服用する必要はありません。
- 妊娠・出産を希望している
- 女性特有の疾患がないかしっかり確かめたい
- 妊娠への支障や胎児への影響がある感染症対策について知りたい
- 受診後、適切な治療や相談などのフォローアップが可能な施設で受けたい
- 生理や避妊、妊娠などについて気になることがある
- 子宮形態異常
- 甲状腺異常
- 染色体異常
- 抗リン脂質抗体陽性
- 第Ⅻ因子欠乏
- プロテインS欠乏
- プロテインC欠乏
- 偶発的流産・リスク因子不明
- 内分泌検査
- プロラクチン(下垂体機能検査)
- TSH freeT4(甲状腺機能検査)
- 糖尿病検査 空腹時血糖、HbA1c
- 自己抗体および抗リン脂質抗体検査
- 抗核抗体
- 抗リン脂質抗体抗カルジオリピンIgG・IgM
- ループスアンチコアグラント(LA)
- 抗カルジオリピンβ2グリコプロテインI複合体抗体
- 抗β2グリコプロテインI IgG・IgM
- 抗フォスファチジルエタノールアミン (抗PE抗体) IgG・IgM
- 凝固因子活性
- PT・APTT
- 第Ⅻ因子活性・プロテインC活性・プロテインS活性
- 子宮形態異常(子宮筋腫、子宮奇形)
- 経腟超音波検査
- 流産時絨毛染色体検査
- 受精卵の染色体異常が原因で流産したかどうかが分かります。胎児の心拍が確認されてから流産を繰り返す場合は検査をお勧めします。
下記のような血栓症の徴候がある場合は、服用をやめ、すぐに受診してください。
※血栓症の徴候:ふくらはぎのむくみや痛み/手足のしびれ
押しつぶされるような痛み/圧迫されるような強い胸の痛み
動悸、息切れ、息苦しさ/めまい、激しい頭痛、目のかすみ、舌のもつれ
緊急避妊について
モーニングアフターピル(ECピル)
避妊に失敗した後に妊娠を回避する目的で服用する薬です。
アフターピルと呼ばれることもあります。
費用
レボノルゲストレル 7,700円(税込)72時間以内で有効
服⽤⽅法
性交渉後に1錠を1回服用します。
性交渉後、できるだけ早めの服用をお勧めしています。
作⽤のしくみ
排卵のタイミングを遅らせる、着床を抑制することで妊娠の阻止効果が期待できます。
避妊効果
効果は100%ではないということをご理解ください。
正しく服⽤することで効果を期待できますが、服用しても妊娠する可能性があります。服用後、避妊せずに性交渉を行った場合、避妊効果は期待できません。
服⽤後の身体の変化
早い場合は服用から3~4⽇後、遅くても3週間以内に、⽣理のような出⾎が生じます。これは、モーニングアフターピルの服用によって起こされた出血であり、異常ではありません。その後の生理はご自分の周期で生じます。
なお、生理が来ない、生理とは少し違う不正出血が疑われるなどの場合にはご相談ください。
副作用
稀に、一時的な悪心や吐き気・嘔吐を起こすことがあります。内服後、2時間以内に嘔吐を起こした場合、薬の成分が吸収されていない可能性があり、再度服用が必要になるケースがありますので、ご相談ください。なお、再度服用のための処方には5,500円が必要です。
月経移動
月経移動には、健康保険の適用がなく、自費診療となります。
10日くらいの投薬で5,000円前後です。
※自費 : 初診料/投薬料金含
※投薬日数によって変わります。
副作用
1.吐き気:吐き気が生じる可能性があります。
その際には、市販の吐き気止め薬を服用しても問題はありません。
2.嘔吐
服用後2時間以内に嘔吐してしまうと、薬の成分が十分に吸収されずに効果を得られなくなります。
服用後2時間以上経過している場合には特に影響がないと考えられています。
3.眠気・むくみ・頭痛
眠気やむくみ、頭痛などの副作用を起こす可能性もありますが効果が下がったり、強い症状を起こすことはありません。
4.奇形性
妊娠が疑われる場合は処方を行っていませんが、妊娠早期に服用した場合にも胎児の奇形性への影響はないとされています。
ブライダルチェックとは
将来、妊娠・出産を考えている女性のための婦人科検診です。結婚を控えて受けるケースだけでなく、結婚後に受ける方もいらっしゃいます。
ブライダルチェックでは、不妊や流産などのリスクを上昇させる子宮や卵巣の疾患や性感染症などの有無を確かめますが、こうした疾患は早期発見と適切な治療で完治が見込めます。将来、妊娠を希望されている方には早めに受けて頂くことをお勧めしています。
当院では、検査だけでなく、生理や避妊などに関するお悩みにもしっかり対応し、患者様一人ひとりのお考えやライフスタイルなどにきめ細かく合わせた診療を行っていますので、安心してご相談ください
※こんな方にブライダルチェックをお勧めしています
ブライダルチェックは、不妊・流産、母子感染などのリスクが高くなる疾患や感染症の有無を事前に確かめ、適切な治療に繋げることで、将来幸せな妊娠期間を過ごして無事出産できるようサポートする検診です。下記に当てはまる方は当院までお気軽にご相談ください。
など
検査コース(仮)
ベーシック
子宮頸がん検査、子宮・卵巣の超音波(エコー)検査
HPV、AMH、甲状腺機能(TSH, fT4)
おりもの培養(一般・トリコモナス・淋菌)、クラミジア抗体、HIV
B型肝炎、C型肝炎、梅毒、風疹、麻疹、水疱瘡、ムンプス、貧血
オプション
オプション検査(コースに追加して行う検査)
ハイリスクHPV(おりもの) | 4,000円 |
---|---|
甲状腺 | 3,300円 |
AMH | 6,800円 |
クラミジア抗体 | 2,200円 |
クラミジアPCR(おりもの) | 3,000円 |
HIV・B型肝炎・C型肝炎・梅毒 | 4,000円 |
貧血・血糖・肝腎機能 | 3,500円 |
トキソプラズマ・ サイトメガロウイルス抗体 |
8,250円 |
一般不妊治療・不育症
不妊症とは
健康な男女が妊娠を望んで避妊せず性交渉をして、一定期間が経過しても妊娠しない状態を不妊症と呼びます。一般的には1年間経過すると不妊症とされますが、年齢などの条件により1年を待たずに検査や治療を開始することが必要なケースもあります。妊娠に対する不安や迷い、お悩みがある場合にはできるだけ早くご相談ください。
女性側の検査
1.内診・経腟超音波(エコー)検査
この検査では、子宮や卵巣の状態が把握できます。卵胞も確認可能で、排卵日を予測する手助けになります。また、黄体期に検査することで卵胞が消失したかどうか、子宮内膜の厚さを測定します。
不妊治療だけでなく、子宮筋腫や卵巣嚢腫、ポリープなどの診察の際も行います。
2.血液検査
卵巣機能の評価には、基礎値とされる月経3~6日目頃のE2、LH、FSHを調べることが有効です。
また、AMH(抗ミュラー管ホルモン)は卵巣に残っている卵子の数を反映すると考えられており、卵巣予備能・卵巣年齢と呼ばれることもありますが、将来の妊娠の可否を判断できる正確性はありません。生殖補助医療(ART)時の採卵個数予測や治療のステップアップの判断材料に用いられています。
3.卵管造影検査
子宮卵管造影検査(HSG)
油性造影剤を子宮内へ注入して、エックス線で撮影し卵管の通過を診断する検査です。
治療
1.タイミング法
排卵の2日前頃に性交渉を行うのが最も妊娠しやすいタイミングとされています。卵胞の大きさや尿検査によるホルモンの状態によって排卵期を予測してお伝えし、最も妊娠しやすいタイミングで性交渉を行えるようにします。この治療では、排卵日に合わせた受診が必要です。
2.排卵誘発法
排卵を促進する薬を投与する治療法です。内服薬と注射があります。基本的には排卵障害がある場合に行われますが、排卵がある状態でも人工授精の妊娠率を高くする目的で行われるケースもあります。
不育症とは
不育症は、妊娠はするものの流産や死産を繰り返している状態を言います。2回流産した場合を反復流産、3回続いた場合を習慣流産といいますが、一般的には2回連続した流産・死産があれば「不育症」と診断され、原因を探します。
自然流産は一定の割合で起こる(1回の妊娠当たり約10~15%)とされ、日本では妊娠を経験した女性の40%近くの方が流産を経験しているともいわれています。そのうちの約4%が不育症と考えられると厚生労働省の調査で報告されています。
不育症のリスク因子
不育症の検査について
原因を特定するための検査(不育症検査)として以下の項目があります。
一部自費の検査が含まれていますが、原因を特定するために必要な検査です。
治療について
内分泌異常に対しては、薬物治療を行います。
また、抗リン脂質抗体と凝固異常の場合、当院では低用量アスピリンやヘパリン療法を行っています。
流産手術・中絶手術
流産手術
当院では、流産手術時に静脈麻酔と鎮痛剤を併用し、できるだけ痛みの少ない麻酔を行っています。
また、従来の掻爬法では無く、より安全な真空吸引法で手術を行います。
術前、術後は個室で休んでいただけますので、プライバシーは保護されます。
流産診断時に、流産の原因、術前、手術、術後、今後の妊娠について詳しく説明します。
人工妊娠中絶術
妊娠はしたものの、望まない妊娠や経済的理由などで、どうしても妊娠を継続できない場合はあります。
当院は母体保護法に基づき、母体保護法指定医である院長が人工妊娠中絶術を行っています。
時期 | 妊娠10週以内 ※週数が小さくても、状況によってはこちらで受けられない場合もありますので、診察をして判断しております。 ※妊娠11週0日以降の人工妊娠中絶術は行っていません。 |
---|---|
対象 |
日帰りで可能な方のみ |
方法 | 麻酔は静脈麻酔と鎮痛剤を併用し、できるだけ痛みの少ない麻酔を行っています。 従来の掻爬法では無く、より安全な真空吸引法で行います。 術前、術後は個室で休んでいただけますので、プライバシーは保護されます。 初診来院時に、手術に関する説明、術後の避妊法について詳しく説明します。 |
費用(税込) |
全て自費となります。 初診の際、術前の血液検査まですることになれば、10,000円前後必要です。 処置当日は、14万円を施術前にお預かりして、退院時に相殺します。 |
※術後1週間目の診察後に、保健所に提出する給付金(請求のための診断書)をご希望であれば作成します
※令和7年4月1日以降で、胎児の心拍が確認された妊娠においては、流産・人工妊娠中絶に対しても、「妊婦のための支援給付」(給付金10万円)を受ける事ができます。詳しくは受診時に説明します。
よくあるご質問
乳がんの診察はしておりません
授乳中ではないのに、お乳にしこりがあるなど、乳癌を疑う症状の場合は乳腺外科もしくは外科の対応になります。
当院では診察できませんので、ご了承ください。